コラム
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突然自宅を訪問してきた施工業者から「お宅の屋根にズレがあるので直させてほしい」「このままだと水漏れが起きる危険がある」など、工事をしないと危険があるかのようにそそのかされた結果、必要のない工事を法外な金額で行なうのが「点検商法」という悪徳商法の一種です。
近年、この点検商法による被害件数が増加傾向にあり、毎年過去最高を更新するペースで伸びてきています。
特にターゲットになりやすいのは高齢者世帯で、判断力が鈍ってくることでいきなりやって来た訪問営業が正しいかどうか判断できず、言われるがままに施工を行なわせて高額請求をされてしまうことが多いです。
そのため、一軒家を構える高齢者世帯やその家族は点検商法への警戒を強める必要があります。
点検商法への十分な対策を取るためには、まず点検商法に関しての理解を深めることが近道です。
今回の記事では、点検商法の現状や実際に使われる手法、取るべき対策方法を解説していきます。
全国の消費生活センター等に寄せられる「屋根工事の点検商法」に関する相談が増加しています。
点検商法とは、「近所で行う工事の挨拶に来た」などと言って突然訪問し、「屋根瓦がずれているため点検してあげる」と言って点検した後、「このままだと瓦が飛んでご近所に迷惑がかかる」などと不安をあおって工事の契約をする手口です。
引用元:屋根工事の点検商法のトラブルが増えています-典型的な勧誘トークを知っておくことで防げます!-(発表情報)_国民生活センター
被害件数が年々増加傾向にある点検商法ですが、実際にはどれくらいの被害が生まれているのでしょうか。
点検商法の現状を知ることで、正しい形での警戒心を持ちましょう。
独立行政法人国民生活センターの調査によると、2022年度時点の点検商法に関する相談件数は過去最高の2,885件を記録しており、これまでの統計における過去最高の数値を出しています。
これは2018年度時点の統計で算出された923件と比較すると、約3倍にまで上昇していることがわかります。
統計上最新のデータは2023年8月31日時点の件数となりますが、前年2022年の8月31日時点の件数が893件だったのに対して1,346件と明らかに増加ペースにあることは否めません。
また、こちらの相談件数は消費生活センターからの経由相談は計上していないため、実際の相談件数はこれよりもさらに多くなることが予想されます。
同調査では、点検商法が疑われる契約の当事者は8割超が60歳以上となっており、やはり高齢者の被害が多い商法であることは疑いようもないでしょう。
点検商法の特徴としては、お住まいの住居に関する不安を煽ることで契約を迫るものなので、加齢とともに判断能力が鈍くなってしまう高齢者の方だと不安のままに冷静さを欠いた判断をしてしまいがちです。
また、高齢者世帯は老後に向けた貯蓄や退職金によって下の世代と比べて多くのお金を持っている傾向があるため、悪徳業者からも狙われやすくなってしまいます。
子ども世帯が同居しているなら決断までワンクッションおけるため被害に遭う可能性も減らせますが、核家族化がどんどん進行している現代に置いてはどこにも相談できずに誤った判断をして、高額請求の被害を受けてしまうでしょう。
点検商法は住居工事や修繕の営業をかけてくることで契約を迫りますが、その中でも屋根の工事を持ちかける傾向が強いと言われています。
この傾向があることは統計でも証明されており、点検商法にまつわる相談の内、屋根の工事に関する相談件数は統計上最も古いデータの2018年度でも16.2%となっています。
そこから2019年度は20.1%、2020年度は26.0%、2021年度は31.6%、2022年度は35.4%と年々割合も増えていっています。
2023年度は8月31日までで35.9%となっており、現在ではさらに多くの件数にまで上昇していることも考えられるでしょう。
屋根は住居内に入らなくても見える部分である上に、最上階の屋根は住人が目にする機会も少ないため、工事の必要性があると誤認させることが他の部分と比べて容易であることが屋根工事が多い理由に挙げられます。
点検商法への対策を深めるためには、どのような手口を取る特徴があるのか把握しておくと役立ちます。
どんなセールストークを仕掛けてくるのかや、契約を結ばせるためにどのような話の展開をするのかご紹介します。
点検商法では、契約を結ばせるまで下記のような話を展開して契約をするしかないと勘違いさせるように仕向けます。
まず最初のきっかけとなる飛び込み時点の話の内容ですが、怪しさを感じさせないようにさも自然な口実を作って話しかけてきます。
例えば、このような言葉が挙げられます。
こういった、訪問に際しての理由としては違和感がないような内容を最初に伝えてきます。
自然な理由付けをすることで相手に違和感を感じさせない狙いがあり、まるで「親切な業者さんだな」と思わせるような話の展開をしてきます。
訪問によって住人との接触に成功すれば、その後は契約を結ぶ必要性を感じさせるように不安を煽ったり危機感を抱かせる話を仕掛けます。
今後起こる可能性があるリスクを想起させ、不安感を覚えたターゲットに対してはさらに話を膨らませて、今すぐ対策をする必要があるように思わせます。
この手口にまんまとハマってしまうと、もう契約以外の選択肢が与えられなくなっていくでしょう。
そのような状態になると「せっかく言ってくれているのに断るのも悪い感じがする」といった心理も働き、断るという判断も難しくなっていきます。
点検商法によるセールストークに負けて契約してしまうと、そこからさらに複数のサービスを提案してくるでしょう。
例えば屋根の点検を行なった後に、併せて床下や外壁の点検も提案してくることが考えられます。
既に契約してしまった後だとより冷静な判断能力が失われてしまうため、「せっかくならやっておこうか」という思考になりがちです。
このように、不必要な工事を行なってしまってさらに多くの金額を請求されてしまうことになります。
もし上記のような手法を用いて点検商法を仕掛けられた場合、大切なのはそもそもの始まりである訪問の時点で対処することです。
あらかじめ点検商法においてどのようなセールストークをしてくるのか理解しておくと、訪問時の話の時点で「点検商法かも…?」と警戒心を抱けます。
そして点検商法の疑いがあれば断りも入れやすくなります。
どんどん契約に近付く話になれば断ることも難しい雰囲気を作られてしまうので、初めの段階で拒絶することが重要です。
また、点検商法の存在を理解していればそもそも訪問の時点で断りを入れられますし、本当にリフォームが必要になった際には自ら信頼できそうな業者を探して依頼するのがベストといえます。
大切なのは点検商法の手法を理解することなので、もし近くに持ち家のある高齢者の方がおられるなら、点検商法の存在を知らせて警戒するように伝えましょう。
「訪問販売は高利益=損をしやすい」
「訪問販売は販売者側にとって非常に利益率の高い手法です。だからこそ、売り込まれる側は“割高な契約”をさせられている可能性が高い。必要な商品・サービスであっても、“その場で契約する”ことは避けるべきです。」
ネットやホームセンターで比較すれば、数分の1の価格で済むケースも多く、訪販はかしこい買い物とは言えません。
防犯対策について
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