コラム
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国や自治体の許可を得ずにリフォーム工事を行なっていた点検業者の社長ら4人が逮捕される事件が発生し、社長の男性は「スーパーサラリーマン清水」としてお金を使って豪遊する様子をSNSにて発信していました。
男性の会社が行なっていたのは、飛び込みで家に営業をかけ「屋根が壊れているのが見えた」などといった理由で上がり込んで契約を結び作業を行なう、いわゆる「点検商法」と呼ばれるものです。
点検商法は近年摘発が相次いでいますが、既にその手法は多くの人が知ることとなっているため、今後もさらなる被害を生む可能性がある新しい詐欺手法といえます。
この記事では、なぜ点検商法が今後広まっていくことが考えられるのか、そしてどのように対策していけばいいのかを防犯の専門家目線で解説していきます。
国や自治体の許可を受けずにリフォーム工事を行ったとして、警視庁は複数の悪質リフォーム業者を統括していたとみられる40代の容疑者ら4人を建設業法違反の疑いで逮捕しました。
容疑者は「スーパーサラリーマン清水」と名乗り、派手な生活ぶりをSNSに投稿してメンバーを集めていた疑いがあるということです。
逮捕されたのは、東京 渋谷区の無職、清水謙行容疑者(49)や、さいたま市の自営業、石井匠容疑者(45)ら4人です。
警視庁によりますと、おととし、神奈川県内に住む60代の男性など2人から、国や自治体の許可を受けずに500万円以上のリフォーム工事を請け負っていたとして、建設業法違反の疑いが持たれています。
引用元:悪質リフォーム業者 “統括”ら4人逮捕 “スーパーサラリーマン清水”名乗る 無許可で工事行ったか | NHK | 事件
今回点検商法を行なう会社の社長らが逮捕され、この社長の男は点検商法の生みの親とも言われています。
しかし、だからと言って点検商法が無くなるわけではなく、むしろ今後増えていく可能性も高いと考えられています。
その理由を解説していきますので、今後の対策のために参考にしてください。
点検商法は、全国各地の警察でも対策が強化されてきており、今や立派な悪徳商法の一種として数えられています。
それはつまり、警察を上げた犯罪対策が必要なほどにまで点検商法の手法が拡大し、各地で被害をもたらしているということです。
消費生活センターの調査によると、全国の屋根裏工事の点検商法の件数は2018年だと923件でしたが、2023年には2,885件と3倍もの件数にまで膨れ上がっています。
今回の点検商法の大物が逮捕された一件が、同様の手法を取る人々の牽制となって抑制効果があるかもしれませんが、まだまだ点検商法が拡大することが考えられるでしょう。
点検商法の手口は非常に再現度が高く、言葉巧みにターゲットを言いくるめられるほどの話術があれば疑いもなく成功させることができてしまいます。
また、実態はどうあれ外からの見え方だけでもしっかりとした建設会社やリフォーム会社であることがアピールできれば、信じ込んでしまう人も多いです。
特に、点検商法のメインターゲットとされている高齢者層であれば判断能力も鈍ってしまっているため、第一印象を良くできれば点検商法の成功率も高まってしまいます。
そのため、仮初の建設会社を立ち上げてしまえばすぐに点検商法が行なえてしまいますし、ある程度建設に関する知識やスキルを有していれば手法はより巧妙になるでしょう。
今回点検商法を行なっていた社長ら4人が逮捕された理由としては、500万円以上の費用がかかるリフォーム工事を国や自治体からの「建設業許可」という手続きを取らずに実行したことにあります。
つまり、500万円未満を請求するリフォーム工事であれば、国・自治体からの許可がなく実行できてしまうため、罪に問える要素がより少なくなってしまいます。
そもそも、まだこの点検商法自体を明確に規制する法律はないため、身を守るためには点検商法に対する自衛意識を高めるといった対策方法しかないのが現状です。
しかし、唯一法律違反に抵触する可能性があるとすれば「特定商取引法」違反でしょう。
もし点検商法目的でやってきた訪問者が「無償点検を実施します」と言ってきた後に有償の工事の営業をかけてきた場合、これは特定商取引法違反となる可能性があります。
ですが、訪問時点で「必要な場合は有料の工事も実施します」などの断りを入れておけば違法では無くなってしまうため、注意深く訪問者の発言や動向を伺う必要があるでしょう。
点検商法のやり口も巧妙になってきているため、特に組織的な犯行を行なっている場合はこうしたうっかりミスを行なわないための指導も徹底されていることが考えられます。
昨今広がっているSNSなどで高額条件につられて犯罪行為に加担してしまうアルバイトである「闇バイト」ですが、実は点検商法との親和性も高いです。
点検商法を実行するには家々を回る実行役が必要になりますが、そのためにSNSなどを経由して人を集めることもできてしまいます。
また、募集の文面でも建前上は「不動産営業」「リフォームの提案営業」などと表記してしまえば、まるでちゃんとした仕事かのように演出することもできてしまいます。
このように高い給料で世間体もちゃんとした仕事かのように見せることで、簡単に実行役を集めることが可能です。
近年の点検商法の被害件数の向上には、闇バイトとの連動性も一因と考えられるでしょう。
もし点検商法の営業が家にやってきた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
まず、点検商法の訪問営業を受けないことが一番の対策なので、訪問営業は受けずに片っ端から断る意識でいることが重要です。
もし営業を受け入れてしまい、途中から怪しさを感じた場合は、勇気を出して「もう結構です」「ウチには不要です」などの断りの文句を入れましょう。
それでも退去しない場合は不退去罪の適用条件にも合致しますので、警察を呼ぶと伝えるのも有効です。
あまりにもしつこく居座る場合は、実際に警察を呼んでも問題ありません。
仮にしつこい営業に負けて工事の契約を結んだとしても、クーリングオフ制度を利用すれば支払った料金の返金が受けられます。
これは全国の消費生活センターで手続きが可能なので、営業をかけてきた会社にまで連絡する必要はありません。
点検商法の営業を受ける前、受けた後でも対策は十分可能なので、強気で営業を跳ね除ける気持ちを持って対応することが重要です。
今回のような悪質リフォーム業者の逮捕は氷山の一角にすぎません。 実はこの“点検商法”という手口、20年以上前から形を変えて繰り返されています。
かつては「シロアリ駆除」や「床下換気扇の設置」などを名目に、必要のない工事を高額で売りつける被害が多発していました。 そして現在は、時代に合わせて手口をアップデートしながら、あの手この手で人の不安に入り込んでくるのです。
こうした被害に遭わないためには、「突然訪ねてきた業者」には決して点検や契約を任せないという意識が何より大切です。 一見親切そうに見えても、相手は“売りたいだけ”かもしれません。
少しでも「おかしい」と思ったら、ひとりで判断せずにご相談ください。 私たちは、こうした相談にも対応しております。冷静に状況を整理し、必要な情報提供やアドバイスをいたします。
焦って契約する前に、一度立ち止まって確認することが、被害を防ぐ第一歩です。
防犯対策について
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